硬券

自動改札機が普及する以前、硬券は全国で使われていましたが、現在では硬券を使っている鉄道会社は多くありません。しかし、今でも記念切符などがあえて硬券で販売されることもあり、硬券は根強い人気を誇っています。

この記事では硬券の使われ方や特徴、歴史、魅力を解説していきます。現在でも硬券を使っている鉄道会社などもお伝えしますから、硬券に興味がある方は、ぜひご一読ください。

硬券の使われ方や特徴

硬券とは

硬券(こうけん)とは、ボール紙と呼ばれる厚紙でできた硬い切符のことです。現在、自動券売機で販売されているロール紙の切符よりも厚く、0.7mmの厚さがあります。切符が厚いため、自動券売機には通せません。

ちなみに、硬券に対して軟券(なんけん)もあります。軟券はロール紙の切符よりもさらに薄い切符です。

硬券の特徴や使われ方

硬券には大きく分けて4つの大きさがあります。

  • A型券:30×57.5mm
  • B型券:25×57.5mm 
  • C型券:60×57.5mm 
  • D型券:30×88mm

A型券は現在自動販売機で販売されている切符のサイズです。硬券の基本となる大きさといえます。B型券は、A型券よりも用紙を節約するために作られたサイズ。私鉄などで使われています。

C型券は、生産効率が悪いことなどから、あまり使われていません。D型券は大型で情報量が多く、発行枚数の少ない指定席特急券などの高額切符や記念切符などで使われています。

D型券以外に「57.5mm」という微妙なサイズが用いられているのは、A型券を考案した人がトーマス・エドモンソンというイギリス人だからです。A型券はインチサイズで「1+3/16インチ×2+1/4インチ」です。これをメートルサイズになおすと「30×57.5mm」になります。

硬券は有価証券のため、偽造防止の工夫がされています。例えば、切符の元になる板紙は紙の成分・重さ・厚みなど特注品です。また、表面には字紋(じもん、地紋とも)と呼ばれる模様が入っているなど、さまざまな工夫が見られます。

硬券の歴史

硬券はどのようにして生まれたのでしょうか。硬券の誕生から現在までの歴史を解説します。

硬券の誕生

硬券が生まれたのは19世紀のイギリスです。イギリスで駅長をしていたトーマス・エドモンソンが1836年につくりだしました。それまでの切符はすべて手書きで、効率が悪いものでした。エドモンソンが考案したのは、発着駅名や運賃・通し番号などを木版でボール紙に印刷することで、現在使われている硬券のシステムとほぼ同じです。硬券は非常に便利だったため、1840年代にはヨーロッパ中に普及しました。

日本への導入

日本に硬券が導入されたのは、日本初の鉄道開業と同じ1872年(明治5年)です。イギリスから硬券の印刷機や改札鋏など一式を輸入しました。当時の紙質はまだ粗雑で、現在の硬券のようなものになったのは明治末期ころのことです。

硬券の衰退

硬券は長い間、特に大きな変化もなく使われてきましたが、転機が訪れたのは自動改札機の導入です。紙が厚い硬券は、自動販売機に入れると詰まってしまうことなどから、次第に廃止されていきました。

JRでは2019年4月までJR北海道で硬券が使われていましたが、現在はほぼ廃止されています。現在、硬券を日常的に使っているのは、自動改札機や自動券売機を導入していない一部の私鉄です。

硬券の魅力

現在日常的な乗車券として硬券を使っている鉄道会社はごく一部です。硬券の魅力はどこにあるのでしょうか。

使われていないから価値がある

かつて硬券や改札鋏は、全国どこででも見られるありふれたものでしたが、現在はほとんど見ることができません。滅多に見られなくなったことが、逆に価値を生み出しています。ありふれていたときには、気にとめる人は多くありませんでしたが、希少性が高まると、注目する人が増えてきたのです。

価値のある硬券とは

硬券のなかには、愛好家などが高値で取引するようなものもあります。価値のある硬券の特徴としては次のようなものです。

  • 発行番号や日付が特殊(0001やぞろ目など)
  • 廃線になった路線や駅のもの
  • 影文字(小児用の「小」など)がある
  • 地図式のもの

また、記念切符が硬券で発売されることもあります。記念切符も希少性があるものが多く、価値があるのです。

今でも硬券を使っているところは?

実際に硬券を使って鉄道を利用してみたい方もいるでしょう。数は少なくなりましたが、地方の私鉄業者ではいくつか硬券を使っています。

  • 京都丹後鉄道
  • 伊予鉄道
  • 島原鉄道
  • 銚子鉄道
  • 三岐鉄道
  • 流山鉄道
  • 津軽鉄道
  • 紀州鉄道

基本的にJRでは硬券を廃止していますが、JR松田駅のように硬券を取り扱っている駅も存在しているようです。

ただし、硬券が廃れつつある存在なのは間違いなく、いつ廃止されてもおかしくありません。硬券目的で旅行へ行く前には、あらかじめ鉄道会社に確認しておいたほうがよいでしょう。

まとめ

硬券はイギリスで考案され、日本では鉄道開業時から自動改札機が普及するまで広く使われてきました。現在では硬券を使っている鉄道会社は少なくなりましたが、逆に希少性が出て人気を得ています。

硬券は実際の鉄道利用で、魅力を感じることもできますし、価値のある硬券を収集することも魅力です。それぞれみなさんの好みにあった楽しみ方を見つけてください。

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