硬券(A型・B型・C型・D型)硬券の解説

ICカードの普及、携帯電話やウェアラブル端末でも鉄道に乗車もできるようになり、切符の利用は希薄になってきています。

そんな折ですが、硬券が今密かなブームになっています。

台紙に鉄道会社や駅の歴史などを記載した入場券や乗車券のセット販売の記念硬券切符が販売されると長い行列ができ話題になったりもしています。

券売機導入により感熱紙を使用した薄い紙の切符が販売されるようになり、軟券と呼ばれています。

それに対して、偽造防止のため、専用の板紙をメーカーに発注して製造していたものは硬券と呼ばれ、厚紙でできた硬い手触りは、懐かしさと共に鉄道ファンの間ではとても人気で、実は高値で取引されるほどです。

硬券は、自動改札機に通せないという理由から、JR全駅でも設備が廃止され、現在では地方の私鉄で販売、もしくは記念切符のみで扱われるのみになりました。

今ではなかなかお目にかかることが少なくなった硬券には、種類が複数あるのはご存じでしょうか?

その詳しい分類を解説します。

硬券、各タイプの歴史

硬券切符にはA型・B型・C型・D型の4つのタイプがあります。

その各々の歴史をご紹介します。

A型硬券切符の歴史

1825年にイギリスで、世界で初めて鉄道が開通されて以来切符の歴史が始まっています。

1837年にニューカスル&カーライル鉄道によって発売された木版印刷の切符が世界初の切符で、その後世界の切符の規範となり、エドモンド型切符と呼ばれました。

1872年(明治5年)日本で初の鉄道開通当時、切符の印刷技術がなかったために、日本初の切符は、印刷機械・用紙・日付印刷・はさみなどは全てイギリスから輸入して作られています。

以来日本のA型切符のサイズは、5.75×3.0㎝のエドモンド型が採用されることとなりました。

B型硬券切符の歴史

B型硬券は、1928年(昭和3年)9月16日に首都圏の「電車特定運賃区間」に初めて採用されました。

戦時中の物資不足のためにA型硬券の縦を5mm小さくしたB型が有楽町印刷場の武井伝次郎場長によって考案されました。

硬券板紙の全紙からA型券は108枚、B型券は135枚取れるため、大分紙を節約できました。

近年は入場券としてこのサイズが採用されてきました。

C型硬券切符の歴史

1907年(明治40年)に帝国鉄道省の「補充報復乗車券」として採用され、連続乗車券や振り替え乗車券として長く採用されてきました。

用紙のロスが多い、製作しづらいということから印刷場からの要請で生産は縮小されました。ほぼ正方形のC型券は裁断時に原紙が90度間違って回転してしまっても分かりづらく、そこからも生産縮小の運命をたどったとされます。

C型硬券はJR民営化前の国鉄末期に廃止されてしまいました。

全国唯一C型印刷機を所有している印刷所で平成28年7月1日OTS犬吠埼温泉犬吠駅・ありがとう外川駅で360円の「一駅散歩往復切符」(往復乗車券)が販売され話題を呼びました。

D型硬券切符の歴史

D型硬券は、鉄道員時代「カード式指定補充式片道乗車券」が始めとされていますが、詳しいことは分かっていません。

1964年(昭和40年)頃になると、料金券や往復券に採用されました。

1990年代になり、切符販売が機械化され、硬券が減りだしたときに、駅名の横に絵や写真などを印刷して観光記念として購入できるタイプのものも販売されていました。

他のサイズと比べて情報量を多く印刷できるために使い勝手の良い大きさとされましたが、硬券板紙の全紙から取れる枚数は72枚と少ないため、製造量の多い券種はさけられ、指定席特急券などの高額券やお土産目的の観光記念入場券などに多用されました。

また近年、三陸鉄道でD型の報復乗車券を扱っていました。

真ん中よりやや右よりに切取り部分のミシン線があり、右側部分が往路用、左側が復路用となっており、発売日から2日間有効。

駅によって、日付はスタンパーで押されるものやダッチングマシーンで押印されるものがありました。

硬券、各タイプのサイズや使用用途

硬券切符の4タイプには、サイズや使用用途などの違いがあります。

A型硬券切符

・「サイズ」

5.75cm×3.0cm

切符考案時のサイズと同じで、考案者の名前を取ってエドモンド型とも呼ばれています。

現在の入場券の軟券と同じサイズです。

・「使用用途」

入場券(10円券以前の入場券)、乗車券、急行券、特急券、グリーン券

B型硬券切符

・「サイズ」

5.75cm×2.5cmのサイズ

・「B型硬券切符の使用用途」

入場券(硬券)の標準サイズ、乗車券、乗車票など

C型硬券切符

・「サイズ」

57.5×60mmのサイズ

A型2枚分の大きさ

・「C型硬券切符の使用用途」

連続乗車券、振替乗車券

往復切符として使用される場合、目的地到着時に往片部分をちぎって回収され、復路で出発地に戻ったときに改札で残りの復片を回収されます。

D型硬券切符

・「サイズ」

8.7cm×3.0cmの横長のサイズ

・「D型硬券の使用用途」

入場券・・・駅名の脇に絵や写真などを印刷した

特急券、急行券、寝台券、往復乗車券、危険乗車券

硬券4タイプの中でもさらなる色々なタイプ

硬券4タイプの中でも様々な使い方をされたものがあります。

そちらをご紹介します。

A型硬券切符の色々

・「斜め線と小さな丸穴」

国鉄・JRの硬券には右側に斜めの線とその上、右端に小さな穴が開いているものがあります。

斜めの線は、この線に沿って切断することで「小児用」として販売していました。

販売額がことなるため、集計時に区別しやすいよう切断された断片の穴にヒモを通して保管していたようです。

鉄道会社によっては、小児用の硬券を別に印刷し、小児用のA型硬券を販売しているところもありました。

・「影文字」が入った硬券

影文字とは、大人用の切符の真ん中に小児や学生用と分かるような文字が印刷されている切符です。

中抜きの「小」や「学」がそれにあたります。

他にも様々な影文字がかつて発行されていました。

「職」・・・国鉄職員用

「復割」・・・往復割引乗車券に印刷

「身」・・・身障者用

「異」・・・異級切符用

「衛」・・・自衛隊員前売り用

「G」・・・グリーン券

などがありました。

・「赤色斜線」の入った硬券

赤い斜線は距離によって本数が変り、1~3本までありました。

複数の硬券のタイプがセットになったもの

・「A型、B型、D型がそろった三陸鉄道の記念切符」

三陸鉄道は。2021年3月11日に「三陸鉄道東日本大震災から10年写真でたどる軌跡きっぷ」と題して、A型硬券入場券6枚、B型硬券入場券4枚、A型硬券乗車券・B型硬券乗車券・D型硬券往復乗車券各1枚を台紙にセットして3,600円で盛、釜石、宮古、久慈の各駅などで販売しました。

まとめ

JRでの硬券の取り扱いがなくなって久しくなります。

駅員さんにぱちんと鋏を入れてもらった記憶を懐かしく思い出す方も多いのではないでしょうか?

硬券の中には4つのタイプがあることをご紹介しました。

お手持ちで記念に持ち帰った切符などがありましたら、どのタイプか検証してみるのも面白いかと思います。

もしかしたらとても貴重なものがあるかもしれませんね。

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