いまあらためて知りたい!硬券の歴史と魅力

かつて、鉄道の切符といえば「硬券」でした。ぶ厚くて硬い板紙に活版印刷された切符は、改札口で駅員さんに鋏(ハサミ)を入れてもらって始めて駅へ入場できるものでした。

ICカードや自動改札機が活躍するいま、あらためて「硬券」の魅力に注目が集まっています。そんな硬券の歴史や使われ方、魅力についてご紹介していきましょう。

あらためて注目を集めている「硬券」とは

硬券は日本の鉄道が開業したときから使用されていた、厚紙製の切符です。厚紙に凸版印刷された硬券は乗車券の役割を担っていました。

乗車券は鉄道に乗車するために支払うお金の代わりであり、有価証券の一種です。そのため、硬券の板紙やインク、印刷機も特別なものが使用されます。

硬券の印刷手順としては、まず板紙へ地紋と呼ばれる各鉄道会社独特の模様を印刷します。次に裁断機で切り分けて、専用の印刷機で表面と裏面にそれぞれ印刷。

硬券の表面には駅名や金額、発行日などが、裏面には鉄道規則、発行元や券番が印字されています。

硬券の歴史を紐解いてみよう

世界で初めて蒸気機関車による鉄道の営業が始まったイギリス。硬券の歴史をさかのぼるとやはりイギリスへたどり着きます。

イギリスで本格的な鉄道旅客営業を始めたリバプール・アンド・マンチェスター鉄道は、手書きの乗車券を発行していました。

しかし、薄い紙に手書きという馬車用の冊子を流用したものが多く、鉄道での大量輸送の売上を把握するには不向きでした。

そこで、登場したのが硬券タイプの乗車券「エドモンソン型」です。

硬券には発着駅名、運賃、通し番号を印刷。乗車するときに鋏を入れて、降車時に回収する画期的なシステムが導入されました。

それでは続いて、日本における硬券の歴史について見ていきましょう。

1872年(明治5年)9月12日に新橋~横浜間の鉄道開行式が行われました。日本初の切符は、その開業記念式典入場券です。

鉄道システムの導入や技術支援はイギリスから受けて開業。そのため、硬券の印刷にかかわる用紙や印刷機械などもイギリスから輸入されました。

日本における硬券の歴史は「エドモンソン型」から始まったのです。

その後日本では、鉄道の普及とともにエドモンソン型のサイズ(約30×57.5mm)をA型とし、紙の節約のために幅を狭めたB型(約25×57.5mm)、A型2枚分のC型(約60×57.5mm)、A型を縦長にしたD型(約30×88mm)と4種類のサイズの硬券が使用されました。

その後、自動券売機の登場をきっかけとして、日本の切符の主役は硬券から軟券へ、さらにICカードシステムの導入によって、硬券切符の歴史に幕が下りました。

現在の硬券はどんな使われ方をしているのか

それでは、現在の数少ない発行枚数の硬券は実際どのような使われ方をしているのでしょうか。

地方の私鉄では乗車券として現役で使用されている例もあります。

猫の「たま駅長」で有名な和歌山電鉄では、硬券式往復普通乗車券を和歌山駅と伊太折曽駅で通年販売しています。猫の肉球型の特注改札鋏も人気を集めています。

また、京都市内の出町柳駅から八瀬や鞍馬へ運行している叡山電車では、4駅で硬券の販売を続けていて、遠方から乗車券を購入するために訪れる人も多いとのことです。

自動改札機やICカードの普及で、限定販売ではない現役の硬券乗車券は購入できる場所が全国的に限られておりコレクションとしての希少価値が高まっています。

また、近年では記念乗車券に硬券がセットされることも多いです。限定販売の情報はSNSなどで拡散されて、発売前から行列ができるほどです。購入者は実際に乗車する際に使用するものと、保存用に複数セット購入する人が大半を占めます。

硬券の記念乗車券の例としては、2021年に24年間運行された東北新幹線「E4系MAX」が引退を迎えたときの「MAXありがとう記念入場券」が3タイプ2000セット販売されたことや、徳島県から高知県にかけて運行中の阿佐海岸鉄道で、世界初のDMV(Dual Mode Vehicle)「線路と道路を両方走る乗り物」の導入に合わせて、限定300セットの入場券の発売などがあげられます。

硬券を蒐集したくなる魅力について

デジタル化された現在において、地紋や凸版印刷などレトロな要素が詰まった硬券に、乗車券としてだけではない魅力を感じる人が増えています。1枚1枚ナンバリングされていて日付も入っている硬券は、世界にたった一枚のレアなコレクションといえます。

鉄道を愛する人たちにとって、乗車したときを思い出させてくれる硬券は、コンパクトに蒐集しやすいという魅力もあります。硬券専用のホルダーも同時に発売されることも多く、硬券のサイズにぴったり合うホルダーのページをめくるのは、購入した場所への旅行を思い出す至福のひとときです。

イギリスの産業革命から日本へやってきて、連綿と続いてきた鉄道と切符の歴史。その歴史のほとんどで活躍してきたのが硬券です。

デザイン性にもすぐれた硬券は、これからも鉄道ファンのみならず、コレクターの心を刺激し続けていくことでしょう。

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